世界の野球の歴史に迫る!

世界の野球の歴史に迫る!

◇野球の原型が生まれたのは800年以上も昔

球や棒を使った狩猟や闘争、宗教的儀式は現生人類以前から行われていたと考えられていますが、スポーツとしての起源は12世紀頃にフランスで生まれたラ・シュールだといわれています。

ラ・シュールは世界中の全球技の原型とも呼ばれており、どちらかと言うとサッカーやラグビー、ホッケーなどに似た競技でした。

これがイギリスに渡りストリート・フットボールとなり、更に様々なスポーツへと派生していきます。
その中のひとつが14世紀頃に生まれたストールボールで、攻守に分かれて勝敗を競う球技のオリジナルとされています。

18世紀頃になると投手の投げた球を打者が打ち返すという、野球に近い要素を備えたラウンダーズやワン・オールド・キャット、タウン・ボールといった遊びが誕生しました。

この頃になるとベースボールという表現が見られるようになりますが、この時点ではまだ特定のスポーツを指すものではなく、定義も曖昧だったようです。

やがてタウン・ボールはイギリス人により、植民地時代のアメリカへともたらされることとなります。

◇ニューヨーク・ニッカーボッカーズ創設、そして野球の誕生

19世紀頃、イギリス系移民によりアメリカへともたらされたタウン・ボールでしたが、当初は子供の遊びという認識が強く大人に相応しいスポーツとはみなされていませんでした。

世界的な動乱の時代であり、人手不足に悩まされていた彼らにはスポーツに充てられる余暇などなかった、というのも大きな理由です。

ですが産業革命により余裕ができたこと、当時猛威を振るっていたマラリアやコレラの対策としてスポーツが有効だと考えられたことなどから関心が高まり、大人たちもタウン・ボールを楽しむようになります。

そして1842年、後に現代野球の父と呼ばれるアレクサンダー・カートライトによって「ニューヨーク・ニッカーボッカーズ(ニッカーボッカー・ベースボール・クラブ)」というタウン・ボールチームが創設されました。

タウン・ボールは口伝えで受け継がれてきたため各地で独自の発展を遂げており、加えて当時は専用の球場もなく適当な空き地を利用していたので、試合の度にルールを取り決めるということが一般的でした。

カートライトはこの素朴な、ある意味ではアバウトなルールを改善するため、20の項目からなる近代的な統一ルール、「ニッカーボッカー・ルール」を策定したのです。

1845年、野球の歴史で最も重要なルール策定により、ついに現代野球、ベースボールが誕生しました。
そして同時に、ニッカーボッカーズは世界初の「野球チーム」となりました。

◇アメリカ全土へと広がるベースボール旋風

翌年の1846年6月19日にはニューヨーク・ニッカーボッカーズとクリケットのチームであるニューヨーク・ナインによる、統一ルールに則った歴史上初めての対外試合が開催されました。

この世界初の戦いは1-23でニッカーボッカーズの大敗に終わりましたが、統一ルールの周知には大きな効果がありました。

その後、カートライトはいわゆる49ersとしてゴールドラッシュに沸くカリフォルニア州サンフランシスコへと向かい、その旅の間に野球をアメリカの各地に広めていきました。

多くの悲劇と混乱をもたらした南北戦争も野球の普及に大きな役割を果たしました。

野球は兵士たちの数少ない娯楽として大いに楽しまれ、終戦後、故郷へと帰る兵士たちによって西部や南部へ伝わっていったのです。

また、戦後には初のプロチーム、シンシナティ・レッドストッキングスが誕生。

彼らはアメリカの各地で遠征試合を行い無類の強さを発揮し、それに刺激されるようなかたちで沢山のプロチームが生まれたといいます。

こうして野球は、全米で親しまれるナショナルスポーツになっていきました。

◇勝利条件は何と21点先取!変遷し続けるルール

前述の通り、野球の原型であるタウン・ボールには地域により様々な慣習、ローカルルールが存在し、その都度ルールを決定しなければならない煩雑さがありました。

また、キャッチした打球を打者にぶつけることでアウトになるなど危険を伴うルールが多く、選手間だけでなく住民とのトラブルの原因にもなっていたのです。

対して、カートライトたちはより洗練された、紳士的で危険の少ないスポーツを目指していたので、投手は打者のハット(頭部)に向けて投げてはならない、走者にボールをぶつけてはならないなどのルールを策定していきました。

また、ニッカーボッカー・ルールは現代野球の礎となっただけのことはあり、ファウルラインの設定や攻撃も守備もお互い9人で行うなど、現代の野球に通じる要素が数多く存在しました。

一方で、投手は打者の打ちやすいボールを投げなければならない、21点先取したチームが勝つなど、今日的な感覚だと少し信じられないような点も少なくありません。

この時点ではホームランの概念もまだ生まれていませんでした。

皆に受け入れられ事実上の公式ルールとなった後もニッカーボッカー・ルールは試合時間を短縮し、より気軽でスリリングな展開になるよう細かく修正され続けていきました。

そして100年以上経った今でも、毎年のようにルール改正が行われています。

ある意味、スポーツの歴史はルール改正の歴史と言えるのかもしれません。

技者人口3500万人にも及ぶ世界的球技、野球。

その発展の裏には長い歴史と数々の試行錯誤の積み重ねがありました。

それらを踏まえると、更に野球を楽しむことができるのではないでしょうか。